お見積・お問い合わせはこちらから!

C2801P-真鍮板(黄銅板)の板金加工実例

板金加工分野においてはよく”BSP(BSPは黄銅板の旧JIS規格記号)”とも呼ばれ、配線器具部品や装飾部品などにもよく用いられる、C2801Pに代表される真鍮板(黄銅板)による薄板精密板金・板金加工の製品実例をご紹介しております。

加工サンプル内容の詳細をご覧いただき、お見積もりやご注文の際の参考にしてください。

真鍮板(黄銅板)の種類や規格などに関することも簡単に解説しておりますので、こちらも設計などの参考になれば幸いです。

真鍮板材料:C2801P


■ サンプル1

真鍮板 C2801P t1.0(表面処理なし)の精密板金実例。企業様向け。真ちゅう板の小物部品・曲げ加工成形品。


■ サンプル2

真鍮板 C2801P t1.5 の精密板金・試作加工サンプル。機械装置試作用部品。レーザカット&曲げ加工成形による光源受けの試作品。企業様向け。


■ サンプル3

真鍮板 C2801P t0.3/t0.4 及び A5052P t0.3 の板金加工例。フライフィッシングにおけるストリーマーフライ用の金属リップの板金試作及び順送型によるプレス量産加工。


■ サンプル4

真鍮板 C2801P t1.5/t2.0/t2.5/t3.0 の板金加工例。板厚がそれぞれ異なる4種類の上部及び下部ライナープレート。企業様向け機械装置用真ちゅう製部品。


■ サンプル5

真ちゅう板 C2801P t1.0 の小物板金加工サンプル。独自のノウハウを生かした手作り加工による少量試作対応の企業様向け機械装置用真鍮製部品。


■ サンプル6

真鍮板 C2801P t3.0 の板金加工サンプル。スピーカーと箱(ボックス)の接合部に挟むマウントの役目を果たす真鍮リングプレート。個人様向けオリジナルデザイン趣味部品。


■ 真鍮板(黄銅板)の種類や規格、サイズ、機械的性質など

真鍮板(黄銅板)の種類
真鍮板とは、伸銅品の一種であり、真鍮を圧延した板材のことです。
真鍮とは、銅合金(※1.)の一種であり、銅(元素記号:Cu)を主成分(59.0〜71.5%)とする亜鉛(元素記号:Zn)との銅合金で、特に亜鉛が20%以上のものをいい、一般には黄銅(おうどう:英文では”brass”又は”copper-zinc alloys”)と言われます。
銅と亜鉛の割合によって、亜鉛が4〜20%未満のもは、丹銅(たんどう)(※2.)と呼ばれるものもあります。

真鍮板(黄銅板)には、添加する亜鉛Znの成分量の多い少ないによっていくつか種類があり、以下の真鍮板があります。

C2600P 真鍮板
黄銅板1種板(旧JIS記号:BSP1)/比重(密度)8.56
化学成分:Cu 68.5〜71.5%/Pb 0.05%以下/Fe 0.05%以下/Zn 残部
上記成分の通り、銅が約70%、亜鉛が約30%であることから、「七三黄銅」、「70/30黄銅」或いはイエローブラスなどと呼ばれる場合もある。
展延性・絞り加工性に優れ、めっき性がよい材料。
端子コネクタ、自動車ラジエター、カメラなどに用いられる。
C2680P 真鍮板
黄銅板2種板(旧JIS記号:BSP2)/比重(密度)8.47
化学成分:Cu 64.0〜68.0%/Pb 0.05%以下/Fe 0.05%以下/Zn 残部
上記成分の通り、銅が約65%、亜鉛が約35%であることから、「65/35黄銅」などと呼ばれる場合もある。
展延性・絞り加工性・めっき性がよい材料。
スナップボタン、カメラ、まほう瓶などの絞り用、端子コネクタ、配線器具、機械部品などに用いられる。
C2720P 真鍮板
化学成分:Cu 62.0〜64.0%/Pb 0.07%以下/Fe 0.07%以下/Zn 残部
展延性・絞り加工性がよい材料。浅絞り用などに用いられる。
C2801P 真鍮板
黄銅板3種板(旧JIS記号:BSP3)/比重(密度)8.43
化学成分:Cu 59.0〜62.0%/Pb 0.10%以下/Fe 0.07%以下/Zn 残部
上記成分の通り、銅が約60%、亜鉛が約40%であることから、「六四黄銅」、「60/40黄銅」などと呼ばれる場合もある。
強度が高く、展延性がある材料。
一般板金用として広く用いられ、市中品の真鍮板として最も一般的に流通する板金材料。
打ち抜いたまま又は折り曲げて使用する配線器具部品、ネームプレート、計器板などに用いられる。色合いは下図のように、黄金色に近い黄色を示す。
C2801P真鍮板の色調サンプル
【C2801P 真鍮板の色調サンプル】

これらの真鍮板のうち、板金加工用板材として広く用いられるのが、C2801P 真鍮板 であり、市中品で豊富な板厚サイズがあり板素材として最も広く流通している真鍮板です。
板金加工eyeにおける真鍮板製品も、特別な要求・仕様などがない限り、通常はこの C2801P を使用しています。

なお、真鍮(黄銅)は、合金成分における亜鉛の割合が多くなるほど色調が薄くなり、少なくなるにつれて赤みを帯びる色調となります。
機械的性質としては、一般に亜鉛の割合が多くなるほど硬度を増しますが、相反して脆さが増すことになるため、亜鉛の割合が45%以上では実用的な材料として機能できなくなります。

(※1.)
銅合金とは、銅を主成分とし、それに合金元素(ある特性を付与する目的で母金属に添加され、又は包含される金属、又は非金属元素)を添加した合金のことをいい、黄銅(銅と亜鉛の銅合金)のほか、青銅(銅とすずの銅合金)、白銅(銅とニッケルの銅合金)、赤銅(銅と金の銅合金)、洋白(銅と亜鉛とニッケルの銅合金)などがあります。

(※2.)
丹銅とは、英語では”red brass”と言い、黄銅(真鍮)と同じく、銅Cuを主成分(78.5〜96.0%)とし、残り亜鉛からなる銅合金であり、真鍮よりも亜鉛の成分が少ない(4〜20%未満)銅合金です。淡紅色の色調を呈することによってこの名称がついており、真鍮より赤みが強く、レッドブラス或いはゴールドブラスなどとも呼ばれ、建材、装身具などに用いられています。
丹銅板は、JIS記号では C2100P、C2200P、C2300P、C2300P の種類があり、いずれも色沢が美しく、展延性・絞り加工性・耐候性がよい銅合金です。

C2801P 真鍮板の定尺サイズ・寸法
C2801P 真鍮板には、一般に以下の定尺板があります。
市中に流通している定尺板サイズとしては、以下の小板(コイタ)やメーター板が最も多く、真鍮板金加工素材として利用されています。

C2801P 真鍮板の定尺サイズ
・365mm×1200mm:通称「小板(コイタ)」
・1×2(1000mm×2000mm):通称「メーター板」
・4×8(1250mm×2500mm):通称「シハチ」(※)

(※)真鍮板の 4×8(シハチ:1250mm×2500mm)の寸法は、SPCC鋼板ステンレス板(SUS304-2B)と若干サイズが異なるので注意が必要です。
A5052Pなどのアルミ板の4×8(シハチ)と同じサイズになります)

C2801P 真鍮板の定尺板サイズ表(標準板厚寸法及び寸法公差、重量)
一般的に流通する C2801P の定尺板(小板、1×2メーター板 及び 4×8シハチ板)の、標準板厚寸法及び板厚寸法公差と各板厚における1枚当たりの重量は、以下の表1〜表3の通りです。
なお、C2801P 真鍮板の比重は、8.43 となります。

表1.C2801P 真鍮板 365×1200小板サイズ表(標準板厚及び寸法公差、重量)
pdfファイル 表1.C2801P 真鍮板 365×1200小板サイズ表(標準板厚及び寸法公差、重量)(PDFファイル版)

表2.C2801P 真鍮板 1×2メーター板サイズ表(標準板厚及び寸法公差、重量)
pdfファイル 表2.C2801P 真鍮板 1×2メーター板サイズ表(標準板厚及び寸法公差、重量)(PDFファイル版)

表3.C2801P 真鍮板 4×8シハチ板サイズ表(標準板厚及び寸法公差、重量)
pdfファイル 表3.C2801P 真鍮板 4×8シハチ板サイズ表(標準板厚及び寸法公差、重量)(PDFファイル版)

※通常、板金加工eyeで板金用として使用する C2801P の板厚はt3.0までとなります。
(t3.0までの板厚を全て在庫している訳ではありません。)

真鍮板の機械的性質(引張強さ・伸び・曲げ・硬さ)
真鍮板 C2600P・C2680P・C2720P・C2801P の機械的性質を、それぞれ以下の表4〜表7にまとめます。(JIS H 3100 より抜粋)

表4.C2600P 真鍮板の機械的性質(引張強さ・伸び・曲げ・硬さ:JIS H 3100)
pdfファイル 表4.C2600P 真鍮板の機械的性質(引張強さ・伸び・曲げ・硬さ:JIS H 3100)(PDFファイル版)

表5.C2680P 真鍮板の機械的性質(引張強さ・伸び・曲げ・硬さ:JIS H 3100)
pdfファイル 表5.C2680P 真鍮板の機械的性質(引張強さ・伸び・曲げ・硬さ:JIS H 3100)(PDFファイル版)

表6.C2720P 真鍮板の機械的性質(引張強さ・伸び・曲げ・硬さ:JIS H 3100)
pdfファイル 表6.C2720P 真鍮板の機械的性質(引張強さ・伸び・曲げ・硬さ:JIS H 3100)(PDFファイル版)

表7.C2801P 真鍮板の機械的性質(引張強さ・伸び・曲げ・硬さ:JIS H 3100)
pdfファイル 表7.C2801P 真鍮板の機械的性質(引張強さ・伸び・曲げ・硬さ:JIS H 3100)(PDFファイル版)

注(1)
曲げ試験の条件を示す。Wは W曲げ試験を表す。曲げ試験は、注文者の要求のあるものに限り適用し、曲げた部分の外側に割れを生じてはならない。ただし、端部の割れは判定の対象にしない。
注(2)
最小試験力は、4.903N とする。
注(3)
参考値を示す。
注(4)
注(2)の規定にかかわらず最小試験力は、1.961N とする。

真鍮板(黄銅板)のJIS規格
板金加工用としても代表的な真鍮板である C2801P をはじめとし、その他の真鍮や銅板(純銅板)・銅合金板について規定しているJIS規格には、以下の規格があります。

JIS H 3100 銅及び銅合金の板並びに条
(Copper and copper alloy sheets, plates and strips)
圧延した銅及び銅合金の板並びに条について。板を打ち抜き又はせん断した円板、条を打ち抜き又はせん断した円板も含む。
銅及び銅合金の種類・等級及び記号、化学成分、機械的性質、結晶粒度、導電率及び体積抵抗率、水素ぜい性、深絞り加工性、寸法及びその許容差、各種試験など。

なお、真鍮板のJIS規格は、以前は 『JIS H 3201 黄銅板』 というJISがありましたが、この規格は1977年をもって廃止されています。
この旧JISでは、C2801Pは、「黄銅板3種(記号:BSP3)」と定義されていました。

上記の JIS H 3100(銅及び銅合金の板並びに条)では、真鍮板(C2600P・C2680P・C2720P・C2801P)のほか、以下に示すの銅板及び銅合金板が規定されています。

無酸素銅板(記号:C1020P)
酸化銅(I)[Cu2O]や残留脱酸剤を含まない銅 99.96%以上の高純度銅の非鉄金属。
導電性・熱伝導性・展延性・絞り加工性に優れ、溶接性・耐食性・耐候性がよい。
還元性雰囲気中で高温に加熱しても水素ぜい化を起こすおそれがない。
電気用、化学工業用などに用いられる。
広くケーブルの導体として使われているタフピッチ銅と比較すると、より抵抗や歪みが少なく工業的に優れている純銅。
タフピッチ銅板(記号:C1100P)
酸化銅(I)[Cu2O]の状態で酸素を0.02〜0.05%含む銅 99.90%以上の高純度銅の非鉄金属。
導電性・熱伝導性に優れ、展延性・絞り加工性・耐食性・耐候性がよい。
電気・熱の伝導性に優れるが、還元性雰囲気中で高温加熱すると水素ぜい化を起こす場合がある。
広く導電用材料として使われるほか、電気用、蒸留がま、建築用、化学工業用、ガスケット、器物などに用いられる。
りん脱酸銅板(記号:C1201P、C1220P、C1221P)
りんによって脱酸され、酸化銅(I)[Cu2O]を含まない銅 99.90%以上の高純度銅の非鉄金属。
残留りん量によって高りん脱酸銅と低りん脱酸銅とがある。
高りん脱酸銅は、水素ぜい化の心配はないが、導電性が低下する。
低りん脱酸銅は、導電性の低下は少ないが、条件によっては水素ぜい化のおそれもある。
展延性・絞り加工性・溶接性・耐食性・耐候性・熱伝導性がよい。
合金番号C1220は、還元性雰囲気中で高温に加熱しても水素脆化を起こすおそれがない。
合金番号C1201は、C1220及びC1221より導電性がよい。
ふろがま、湯沸器、ガスケット、建築用、化学工業用などに用いられる。
印刷用銅板(記号:C1100PP、C1221PP、C1401PP)
C1100PP及びC1221PPは、特に平面が平滑である。グラビア版用。
C1401PPは、特に平面が平滑で耐熱性がある。写真凸版用。
すず入り銅板(記号:C1441PS)
導電性・熱伝導性・耐熱性・展延性に優れている。
半導体用リードフレーム、配線機器、その他電気電子部品、湯沸器など。
ジルコニウム入り銅板(記号:C1510PS)
導電性・熱伝導性・耐熱性・展延性に優れている。
半導体用リードフレームなど。
鉄入り銅板(記号:C1921PS、C1940PS)
導電性・熱伝導性・強度・耐熱性に優れ、加工性がよい。
半導体用リードフレーム、端子、コネクタなどの電子部品など。
丹銅板(記号:C2100P、C2200P、C2300P、C2400P)
色沢が美しく、展延性・絞り加工性・耐候性がよい。
建築用、装身具、化粧品ケースなど。
快削黄銅板(記号:C3560P、C3561P、C3710P、C3713P)
C3560及びC3561は、特に被削性に優れ、打抜き性もよい。時計部品、歯車など。
C3710及びC3713は、特に打抜き性に優れ、被削性もよい。時計部品、歯車など。
すず入り黄銅板(記号:C4250P)
耐応力・腐食割れ性・耐摩耗性・ばね性がよい。
スイッチ、リレー、コネクタ、各種ばね部品など。
アドミラルティ黄銅板(記号:C4430P)
耐食性、特に耐海水性がよい。
厚物は熱交換器用管板、薄物は熱交換器、ガス配管用溶接管など。
ネーバル黄銅板(記号:C4621P、C4640P)
耐食性、特に耐海水性がよい。
厚物は熱交換器用管板、薄物は船舶海水取入口用など(合金番号C4621はロイド船級用、NK船級用、合金番号C4640はAB船級用)。
アルミニウム青銅板(記号:C6140P、C6161P、C6280P、C6301P)
強度が高く、耐食性、特に耐海水性・耐摩耗性がよい。
機械部品、化学工業用、船舶用など。
楽器弁用黄銅板(記号:C6711P、C6712P)
打ち抜き加工性・耐疲労性がよい。
ハーモニカ、オルガン、アコーディオンの弁など。
白銅板(記号:C7060P、C7150P)
耐食性、特に耐海水性がよく、比較的高温の使用に適する。
熱交換器用管板、溶接管など。
ニッケル-すず銅板(記号:C7250PS)
展延性・成形加工性・疲労特性・耐熱性・耐食性がよい。
電子・電気機器用ばね、スイッチ・リレー、リードフレーム、コネクタなど。



関連&お役立ち

目で見て納得・これなら注文できる!-板金加工eye