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SUS304CSPなどステンレスばね材の板金加工実例

板金加工分野においてはよく”サスばね材(SUSバネ材)”などと呼ばれて、一般に薄板バネやエッチング材、シム板などによく用いられる、SUS304CSPやSUS301CSPに代表される ばね用ステンレス鋼帯による薄板精密板金・板金加工の製品実例をご紹介しております。

加工サンプル内容の詳細をご覧いただき、お見積もりやご注文の際の参考にしてください。

SUSバネ材の種類や規格などに関することも簡単に解説しておりますので、こちらも設計などの参考になれば幸いです。

薄板ばね材料:SUS304-CSP等-SUSバネ材


■ サンプル1

ステンレスばね材 SUS304-CSP t0.3(表面処理なし)の精密板金実例。企業様向け。曲げ箇所数が多く、切り絞り部もあるステンレスクリップ試作品。


■ サンプル2

ステンレスばね材 SUS304-CSP SUS304-CSP 1/2H t0.2/t0.8/t0.6 の精密板金実例。企業様向け。ステンレスクリップハンガー板バネの試作品。ヘミング曲げ・R曲げ。


■ サンプル3

ステンレスばね材 SUS304-CSP SUS304-CSP 1/2H t0.3 の精密板金・薄板金属加工実例。レーザーカットによるブランク加工・曲げ加工、曲げ加工後に切り欠きの追加工が必要な実例。


■ サンプル4

ステンレス薄板ばね材(SUSエッチング材) SUS304-H t0.35(t0.3) の薄板金属精密加工実例。フォトエッチング加工(フォトレジストエッチング加工)によるステンレス薄板リングの試作実例。


■ サンプル5

ステンレス板バネ材 SUS304-CSP SUS304-CSP 1/2H t0.5 及び t0.7 の板バネ加工実例。企業様向け。マネークリップのような形状の板状ホルダーの試作品。バネ強度がポイント。


■ サンプル6

ステンレス板ばね材 SUS304-CSP SUS304-CSP 1/2H t0.3 の板バネ精密板金加工実例。新製品(日用品)に組込まれる板ばねを利用したロックピンの試作。円筒形状のR曲げ及び微小な突起形状の曲げ加工。


■ ばね用ステンレス鋼帯の種類・特性・規格・板厚公差・機械的性質など

SUSバネ材の種類
薄板バネなどによく利用されるステンレスの薄板精密板金加工材料として、SUSばね材などとも呼ばれている、ばね用ステンレス鋼帯には、以下の記号で表されるような種類があります。

  • SUS301-CSP : オーステナイト系
  • SUS304-CSP : オーステナイト系
  • SUS420J2-CSP : マルテンサイト系
  • SUS631-CSP : 析出硬化系
  • SUS632J1-CSP : 析出硬化系

りん青銅やベリリウム銅などの銅系の薄板バネ材料を除き、ステンレス鋼板の薄板バネ材料では、上記のなかでも SUS304-CSP と SUS301-CSP が最も広く利用されています。

板金加工eyeにおける薄板ばね等の精密板金加工においては、通常この SUS304-CSP を用いています。
SUS301-CSP は、SUS304-CSP よりも更に硬さを求められるバネや特に要求のある場合に使用しています。

SUSバネ材の特徴・欠点など
ばね用ステンレス鋼帯は、オーステナイト系ステンレス鋼のもつ強い加工硬化特性や耐食性を利用した高精度・高強度の板バネ材です。
その主な特徴や欠点などには以下が挙げられます。

  • 耐食性に優れ、塗装やめっき等の表面処理の必要なく、悪い環境でも使用が可能。
  • 再結晶点が高いため300℃程度までの使用に耐える。
  • 銅合金系のバネ材に比べ比重が軽く、弾性率が高いため軽量である。
  • 冷間圧延により製造するため方向性が強い。
  • 電気抵抗が高い。
  • 溶接やろう付がやや難しい。
  • 同じバネ性でも引張強さが高いため加工が難しい。

SUSばね材の曲げ加工
ばね用ステンレス鋼帯は冷間圧延によって製造されるので方向性(異方性)が高い薄板であるため、曲げ加工の際には注意が必要です。
特にバネ性の強いものほど圧延率が高いために異方性が強くなります。

一般に、強度(引張強さ、ばね限界値、降伏点、弾性率など)は、圧延方向に直角な方向が強く、平行な方向が最も弱くなり、伸びについてはその逆の傾向となります。

そのため、SUSバネ材の曲げ加工は、一般に曲げ軸が圧延方向に直角あるいは45°方向くらいまでに収まるような材料取りをする必要があります。(下図参照)
ばね材の曲げ加工における圧延方向の取り方
【SUSばね材の曲げ加工における圧延方向の取り方】

さらに、一般に強度の高いバネ材ほど靭性(じん性)が乏しくなり、スプリングバック(※)が大きくなるので、曲げ加工の難易度が高くなります。

(※)スプリングバック
スプリングバックとは、素材に弾性があるため、曲げ加工など所定の形に成形しても加工終了後加圧力を開放した時に、はね返りにより曲げた角度よりも開いてわずかに加工前の形状に戻ってしまう現象をいいます。
スプリングバック量は材質や曲げ、絞りの量に左右されます。
SUSバネ材などスプリングバックの強い材料の曲げ加工を行う際は、スプリングバックによる曲げ角度の戻り量を考慮した深い曲げ角度の加圧力を加えなければならいので、寸法精度が出にくい難しい加工になります。

SUSばね材のJIS規格
SUSばね材として用いるばね用ステンレス鋼帯のJIS規格には、以下のJISがあります。

JIS G 4313 ばね用ステンレス鋼帯
主として自動車、電気機器などに使用される薄板ばね、ぜんまいばねなどに用いるステンレス鋼帯について。

SUSバネ材の定尺サイズ・板厚寸法公差
SUS304-CSPやSUS301-CSPのなどのSUSばね材(板材、エッチング材、コイル材)の定尺サイズや板厚寸法公差を以下の表1にまとめています。
板金加工eyeにおける薄板精密板金材料に用いる素材板は、通常、表1の板材を素材板として利用しています。
※表1の材料は、材料屋での在庫であり、板金加工eyeで表1の素材をすべて在庫している訳ではありません。
(板金加工eyeでの常時在庫は、SUS304-CSP で、板厚は、t0.1〜0.8 程度までが主流になります。)

(クリックで拡大)
表1.SUSバネ材(SUS304-CSP・SUS301-CSP等の板材・エッチング材・コイル材)の定尺サイズ・板厚寸法公差
pdfファイル 表1.SUSバネ材(SUS304-CSP・SUS301-CSP等の板材・エッチング材・コイル材)の定尺サイズ・板厚寸法公差(PDFファイル版)

注1.
表中で、「−」表示のものは、通常取り扱いがありません。
注2.
板材の定尺寸法は、通常、「幅320mm×長さ1000mm」ですが、幅については 300mm〜325mmの場合もあります。

なお、表1の定尺サイズや板厚・寸法公差は、市中品のものであり、メーカーの自主基準となります。
JIS G 4313(ばね用ステンレス鋼帯)に規定される標準板厚と板厚寸法公差は、以下の表2及び表3になります。

表2.SUSバネ材の標準板厚(JIS G 4313 ばね用ステンレス鋼帯)

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表3.SUSバネ材の板厚公差(JIS G 4313 ばね用ステンレス鋼帯 の厚さの許容差)
pdfファイル 表3.SUSバネ材の板厚公差(JIS G 4313 の厚さの許容差)(PDFファイル版)

機械的性質(硬さ・曲げ性・引張強さ・耐力・伸び・ばね限界値)
SUS304-CSPやSUS301-CSPなどのバネ用ステンレス鋼帯の機械的性質は、以下の表4〜表6の通りです。(JIS G 4313 より抜粋)

硬さ及び曲げ性
表4.SUSばね材の硬さ及び曲げ性(JIS G 4313 ばね用ステンレス鋼帯 の機械的性質)
pdfファイル 表4.SUSバネ材の硬さ及び曲げ性(JIS G 4313)(PDFファイル版)

備考1.
曲げ性は、内側半径で表し、その角度は90度とする。ただし、注文者の指定がある場合に適用する。
備考2.
SUS631-CSP の析出硬化熱処理は次による。
(1)調質記号 O のもの
TH1050:固溶化熱処理(1000〜1100℃急冷)後、760±15℃に90分保持、1時間以内に15℃以下に冷却30分保持、565±10℃に90分保持後空冷。
RH950:固溶化熱処理(1000〜1100℃急冷)後、955±10℃に10分保持、室温まで空冷、24時間以内に−73±6℃に8時間保持、510±10℃に60分保持後空冷。
(2)調質記号 1/2H、3/4H、H のもの
CH:475±10℃で1時間保持後空冷。
備考3.
SUS632J1-CSP の析出硬化熱処理は、次による。
CH:475±10℃で1時間保持後空冷。
備考4.
SUS420J2-CSP の焼なまし(調質記号 O のもの)は、次による。
約750℃空冷又は800〜900℃徐冷。

引張強さ、耐力及び伸び(クリックで拡大)
表5.SUSばね材の引張強さ、耐力及び伸び(JIS G 4313 ばね用ステンレス鋼帯 の機械的性質)
pdfファイル 表5.SUSバネ材の引張強さ、耐力及び伸び(JIS G 4313)(PDFファイル版)

備考1.
耐力及び伸びは、特に注文者の指定のある場合に適用する。
備考2.
厚さ 0.3mm 未満のものは、引張試験を省略できる。

ばね限界値(参考値)
調質記号 ET 又は ST の厚さの許容差のバネ用ステンレス鋼帯は、注文者の指定がある場合には、ばね限界値試験 によるばね限界値の測定を行い、その値は、以下の表6になります。
表6.SUSばね材のばね限界値(JIS G 4313 ばね用ステンレス鋼帯 の機械的性質)
pdfファイル 表6.SUSバネ材の ばね限界値(JIS G 4313 の参考値)(PDFファイル版)

備考1.
ばね用ステンレス鋼帯のバネ限界値試験は、JIS H 3130(ばね用ベリリウム銅、チタン銅、りん青銅、ニッケル−すず銅及び洋白の板並びに条)の繰返したわみ式試験又はモーメント試験による。
備考2.
たわみ係数の参考値は以下とする。
・SUS301-CSP : 167000N/mm2
・SUS304-CSP : 167000N/mm2
・SUS631-CSP : 186000N/mm2
・SUS632J1-CSP : 190000N/mm2
なお、たわみ係数は、受渡当事者間の協定によって、参考値に代えて、実測値を用いることができる。
備考3.
ばね限界値試験片の固定端から負荷点までの距離は、受渡当事者間で協定することができる。



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