クリップハンガー板バネ試作品|SUSバネ材 板金加工サンプル
SUS304-CSPなどのステンレス薄板ばね材の精密板金加工サンプルとして、ステンレス製のクリップハンガー板バネの試作品の製作実例をご案内しています。
製品情報、板金加工内容・部品加工データの詳細、設計・加工のポイントなどをご紹介していますので、お見積もり・ご注文の際の参考にしてください。
■ ステンレスクリップハンガー板バネ
■ 製品サンプル写真(クリックで拡大)
【クリップハンガー板バネ 試作@ SUSバネ材 SUS304-CSP 1/2H t0.2】
【クリップハンガー板バネ 試作A SUSバネ材 SUS304-CSP 1/2H t0.8】
【クリップハンガー板バネ 試作B SUSバネ材 SUS304-CSP 1/2H t0.6】
■ 製品情報・加工データ詳細
- 加工カテゴリー : 精密板金加工、板バネ加工、試作
- 製品名称 : ステンレスクリップハンガー板バネ(仮称)
- お客様 : 企業様向け
- 製品用途 : 脱着が容易なクリップとして使用
- 設計者 : 原案はお客様、板金加工eyeが形状変更をご提案
- 加工用図面形式 : 手書きフリーハンド図面
- 製品構成部品点数 : 3点
- 組立方法 : −
- 製品概略サイズ(試作@) : 約20mm(W)×約70mm(L)×約20mm(H)
- 製品概略サイズ(試作A) : 約20mm(W)×約70mm(L)×約14mm(H)
- 製品概略サイズ(試作B) : 約20mm(W)×約70mm(L)×約18mm(H)
- 素材材質・材料 : ステンレスばね材(SUSバネ材) SUS304-SCP 1/2H
- 板厚 : t0.2mm(試作@)/t0.8mm(試作A)/t0.6mm(試作B)
- 表面処理 : なし
- 製作数量 : 各1個
- ブランク加工方法 : シャーリングカット(1)
- 曲げ加工内容: プレスブレーキ曲げ(2)
- 曲げ加工箇所数(試作@): 7箇所、R曲げ(送り曲げ)2箇所
- 曲げ加工箇所数(試作A): 9箇所
- 曲げ加工箇所数(試作B): 7箇所、R曲げ(送り曲げ)2箇所
- 絞り加工 : なし
- 穴加工方法 : プレス抜き(セットプレス(3))
- 穴加工数 : 2-8×約50角穴(試作A)、2-8×約26角穴(試作B)
- タップ加工数 : なし
- 溶接箇所 : なし
- 溶接後の表面処理 : −
- 図面指示の特定寸法公差 : 特定箇所の寸法公差指示なし
- 図面指示なき寸法公差 : 板金加工品の一般公差(JIS B 0408-B(4) 打抜き・曲げ・絞り)
- 金型又は簡易ジグ製作の要否 : 不用
- 加工難易度 :
- 材料費価格(材料コスト) :
- 加工賃価格(加工コスト) :
- 表面処理価格(表面処理コスト) : −
- トータル価格(トータルコスト) :
- 納期 : (注文後営業日15日以上程度)
- 評価(満足度) :
■ 注記(用語の説明)
- 注(1).シャーリングカット(シャーリング加工)
- 鋼板・板材を切断すること。切断の原理は、紙を切るハサミと同様。
以下のような機械で加工する。
- 注(2).ブレスブレーキ曲げ(ベンダー加工)
- 鋼板・板材を曲げ加工すること。一般にV型のダイに乗せた板材をプレス加圧し、塑性変形させて任意の角度に曲げる。板金加工品の完成度は、曲げ加工の精度に拠るところが大きく、板金の基本的かつ重要な加工工程の一つ。以下のような機械で曲げ加工する。
- 注(3).セットプレス
- 鋼板・板材に穴などのパンチング加工を行う機械。
- 注(4).JIS B 0408-B
- 金属プレス加工品(金属板を打抜き・曲げ・絞りによってプレス加工したもの)の普通寸法公差(特に図面に指示のない寸法の公差、一般公差)は、JIS B 0408(金属プレス加工品の普通寸法公差)に規定される等級”B級”によるという意味。各等級の普通寸法許容差は以下。
■ クリップ使用方法、設計・加工のポイントなど
■ クリップハンガー板バネの試作図面・設計・加工のポイント
クリップハンガー板バネは、以下のような製作図面により、試作@〜Bの3種類の形状を試作しました。
それぞれの図面は以下の通りです。
【クリップハンガー板バネ 試作@製作用図面(SUS板ばね材 SUS304-CSP 1/2H t0.2)】
【クリップハンガー板バネ 試作A製作用図面(SUS板ばね材 SUS304-CSP 1/2H t0.8)】
【クリップハンガー板バネ 試作B製作用図面(SUS板ばね材 SUS304-CSP 1/2H t0.6)】
このような形状のSUSバネ材における板ばねの強度を厳密に計算で算出することは困難ですので、実際にいくつか試作してみることによって、その使用上想定する仕上がり具合を確認します。
まずはじめに試作したものが、試作@形状のクリップハンガー板バネです。
クリップする(挟み込む)ものは、硬いものではなく布状の軟らかいものを想定しており、それほど大きなばね性を必要とするものでもないので、はさみ口になるべく挿入しやす形状を考慮し、試作@の形状としましたが、板厚t0.2では薄すぎて強度が出ず、これはうまくいきませんでした。
次が試作Aの形状で、板厚を大幅にアップし、t0.8のSUSバネ材で試作しましたが、両面の大きな開口を設けたものの、板厚が厚すぎることによるバネ性が強すぎてこれも失敗作となります。
最終的に目的とするばね性が得られたクリップハンガー板バネが、試作Bの形状になります。
板厚をt0.6とし、両面の開口の大きさと、クリップ部分の幅寸法を調整することで、おおよそ狙ったバネの強度がえられました。
また、試作Bでは、はさみ口の開きをR曲げすることによって被クリップ物を挿入し易いようにしています。
いずれのタイプも、一枚板からの曲げ加工により成形しており、クリップハンガー上部中央部分は、板を180度折り返して曲げた形状となっており、このような曲げは、ヘミング曲げ(※)に近い曲げ加工となっています。
- (※)ヘミング曲げ
- ヘミング曲げとは、曲げ加工方法の一種で、安全性を高めたり、補強目的、あるいは美観を高めるなどを目的として行う曲げ加工のことで、板材の縁(フチ)などの曲げに施されます。
アザ折り(あざ折り)や、潰し曲げ(つぶし曲げ)などと言われる場合もあります。
【ヘミング曲げ(アザ折り・つぶし曲げ)の説明図 】